汽車旅モノローグ~鉄道小話

鉄道の話題・今昔話を綴るブログ。旧「黒羽君成の鉄道小話(北海道コラム)」

車両・列車

【函館本線】山線のともしびは消えたけれど・・・

2018/06/10

私は昭和60-62(1985-87)年、札幌から倶知安まで、2人交替制での週1回(隔週持ち回り)、関連企業に日帰りで応援出張しており、出張が割り当てられた頃は、「急行ニセコ」で往復していました。

当時、「ニセコ」は14系客車にかわって既に4年たっていましたが、自分の周りにはこれといった新たな鉄道話もなく、元・特急用車輛が急行料金で乗れると他愛なく喜び、また行きには小沢で「運が良ければ」トンネル餅の立ち売りさんがいるかもしれないと思うと、出張の内容などいつも二の次になっていました。

しかし、この14系客車はチョット手抜きでして、本州で使われていた「特急仕様」の増圧ブレーキの引き通し管がふさがれていたため、制動距離が長くなる分、最高運転速度110km/hrから95km/hrにスケールダウンした車輛でありました。
それでも約1年、そこそこ楽しく過ごせた倶知安通いでしたが、昭和61(1986)年10月31日をもって、山線から特急「北海」2往復、急行「ニセコ」の優等列車を全廃するとのお達し。

次の出張からは、倶知安まで小樽乗り換え、札幌・小樽間、小樽・倶知安間いずれも各駅停車なのでもう少し早い列車で来るようにと、出張先から指示をもらってきた二人体制の相方の疲れ切った顔は今でも忘れません。

私も、今まででさえ6時30分、これから6時か・・・ともなればため息も出ます。

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長万部行きのディーゼルカー

いよいよ私の番の出張日になりました。小樽行きは早朝とラッシュとは逆方向でしたので難なくすわれました。

小樽につくと、駅員氏が、降りたホームの倶知安側に「長万部行き」がとまっているので、降りた列車の進行方向に進みなさいとおっしゃる。

これ、旧・旭川駅や広尾線・士幌線が現役だったころ帯広駅でよくやる手で、同一ホームに2方向の列車を止めたり、発車させたりするやり方じゃないか?そして、そのほとんどが単行列車・・・等と考えながら歩いて行くと、やっぱり、そこには赤帯をまいたベントー箱のようなディーゼルカーがぽつんと1輛・・・

こんな事だろうと思っていたけど、何もこんなイーカゲンな車持ってこなくたって、と嫌気も最高潮に達していましたが、このベントー箱が意外と軽快で力強い走りで、その日は何となくお茶を濁された感じでした。

 

この車はあとから調べましたら、その年(1986年)に就役したキハ54-500番台(北海道仕様車)で250x2馬力の強力車であったことがわかり、「山線もほんのわずかだけどオナサケを掛けてもらったのかな」と思いました。

でも、その年の冬になると、銀山駅の下り本線側の除雪が全くされておらず、「交換設備、優等列車引き上げたときに撤去したね!」と11月にディーゼルの新車が来たくらいで、気持ちが和んでしまった自分に腹が立ちました。

国鉄さんもJR分社前に、合理化して削れるところは全部削るつもりだということを痛感しました。

 

後日譚

後日譚です。

2000年の有珠山噴火の時、室蘭・千歳線廻りが不通になり山線がバイパスとなりました。

その時、線路容量が足りず、目名駅の交換設備を復活させたり、長万部・小樽間の交換駅を8輛から10輛対応に延長しております。

銀山駅は、1988年11月、C62ニセコ号の運転が4月に始まったことをうけてか、交換設備が復活していました。

 

またキハ54-500番台は、一時期旭川・稚内間「急行・礼文」に使用に際して転換クロスシート化されました。

しかし、その礼文も、キハ54時代は1986-2000年(列車としては1970-2000年)と比較的長く頑張ったほうですが、急行宗谷、夜行利尻の特急格上げの時に消滅してしまいました。

その後のキハ54-500は、宗谷本線、留萌本線、石北本線(特別快速「きたみ」にも使用されています)、釧網本線、根室本線、函館本線北端・滝川ー旭川間に押し込まれ、札幌近郊には出てこなくなりました。

 

特に「特快・きたみ」は北見・旭川間184.7kmを下りは3時間18分(表定速度56.0km/hr)で、同区間の特急オホーツク4往復は2時間55分~3時間3分(同60.6-63.3km/hr)、上りは同区間を3時間8分(同59.9km/hr)で、4往復のオホーツクは2時間53分~3時間1分(同61.2-64.1km/hr)と15-20分の差が付きますが「北見・遠軽間60km途中9駅」をオホーツクは2駅停車、きたみは2駅通過を考えれば、「特別快速」の名にふさわしい走りではないでしょうか。

 

国鉄最晩年の一般型気動車にあって、土壇場につくられた車としては、その場しのぎでは無い優秀な車と思いますが、29輛のみの少数製作でありますので、上のように分散配置せず、むしろ、千歳・室蘭本線に集中配備してみては?

昼間は全くがら空きで、売れない「室蘭電車特急・すずらん」などやめてしまって、キハ54の4-6連の快速として、東室蘭分割、室蘭・洞爺(伊達紋別)行きの運用としてみては如何でしょう?気動車ならではのフレキシブル編成で。

停車駅は、千歳まではエアポート並みで、千歳以南は沼ノ端、苫小牧、白老、萩野、登別、幌別、鷲別、東室蘭、室蘭まで各駅/伊達紋別、有珠、洞爺。
所要時間は、東室蘭まで「すずらん」の30分程増しの2時間10分程度。1時間毎のネットダイヤで、「北斗」が走る時間帯も極力走らせる。

現在、実際には、苫小牧以西、「すずらん」以外まとまった電車の運用はありません(苫小牧までは札幌からローカル電車が入ります)。
ですから、このようなときは、苫小牧以西を思い切って内燃化してしまってはどうかなと思います。

原発開店休業中の間ともなれば、なお節電を兼ねてと思いますし、観光客の新たな発掘(洞爺まで特急料金不要の低料金温泉旅行)も可能です。

札幌・登別、札幌・東室蘭、札幌・洞爺は各々運賃2100、2420、3150円。
現在高速バスは往復運賃と所要時間は、各々3750円/1時間40分、3750円/1時間44分、(一般道、片道2,700円/2時間45分)。
JRは快速便にもS切符を作ってしまう!

とりあえず特急s切符と同じ41%引きで計算。

登別、東室蘭、洞爺の順に2480円、2860円、3720円。
そして、登別・温泉、洞爺・温泉はバス乗り換え、15分、25分それぞれまた乗ります。
ですから、S切符の往・復おのおのに、温泉までの連絡バス乗車券もつけちゃえ!

現在、キハ54使用線区には20m車は過大のような気がいたしますので、16-18m車で355馬力エンジン(スーパー北斗と共通)か450馬力エンジン(210系と共通)の部品をのせた車を走らせると修繕の時もコストダウンになりませんか?

余剰になった785系は「小樽始発」で2時間に1本程度の「急行・旭川ゆき」として、都市間バス増便の折、「Sカムイ」が減便になった時間帯のネットダイヤに組ませる。

停車駅は札樽間は快速と同じ、札幌・旭川間は江別のみ増やし、往復利用者には急行用Sキップも準備してバスと対抗させる。

札幌・旭川の特急往復S切符は正規料金の59%で4940円。都市間バスは往復3750円。
急行にすると片道2420+950=3170.往復6340円。正規料金の59%まで落とすと3741円。
割引をもう少し大きくして頂きましょうか?

その他2時間毎小樽から「空港急行」を「札幌まで快速+札幌・新札幌・(北広島と恵庭が千鳥停車)・千歳・南千歳」ととめて、両者とも急行料金徴収は札幌・旭川/空港間の乗客に限定します。
5両編成。当然のように小樽・空港S切符を2枚つづりでも、有効期限を2週間程度に伸ばして発行。

他の「Sカムイ」の多客時間帯便は旭川ー札幌・新千歳空港間6輛編成とします。可能であれば車種を新しい789系に統一。

多少古い車でも有料特急でもおかしくないうちに使えたら、と言うお話です。

いつのまにか悲しく悔しいはずの話が、不謹慎にも金勘定の話になりました。

脱線してスイマセン。

 

文/黒羽君成