汽車旅モノローグ~鉄道小話

鉄道の話題・今昔話を綴るブログ。旧「黒羽君成の鉄道小話(北海道コラム)」

鉄道雑学

【石北本線改良案 - 1/5】最初は重軌条化、高速化は後でもよい

2018/06/10

皆様ご存知のように、石北本線は、以前から二つの峠、<北見峠:サミット・上越信号所、標高634m><常紋峠・サミット・常紋信号所(現在使用休止中)標高345m>を抱え、また丙線規格(最高設計速度:95km/hr)という脆弱な線路規格が加わり、重量貨物列車、高速旅客列車の往来を阻んでまいりました。

昨今、特に、貨物列車においては牽引定数の不足などから、減便、果ては将来全廃?になるのでは??といった一大事にまで陥っていることは周知のことと存じます。

この苦境を何とか打破しようと各方面のオーソリティの方々がいろいろな手段をお考えのようです(貨物列車が本来今年度で全廃になるところ、あと2年の試用期間という執行猶予を頂けたのも、これらの方々の御努力と御研究の賜物と信じております)。

単なる一道民の私としては、いざとなれば、JR北海道のことを考えてくださる味方がこんなにもおいでになるのか!!!と感涙もヒトシオでありますが・・

「コラ、黒羽!オマエ!!鉄道に興味のない道民に溶け込んで、何も考えないで傍観しているつもりだろう!!無関心を決め込むつもりか???」とおしかりを受けそうなので、多少の憶測を交えて(「ホラ」とか「ペテン」ともいうらしいですが)、私も石北改良案のまねごとを書かせていただくことにしました。

両峠とも、対称型峠で最急勾配は双方向25‰であります。

まず、石北本線の主要駅をご覧いただきましょう。

 

【表1】

sekihoku1-1hyou_20121211
表2は、表1からさらに要点を絞って作りました。
そのうえで、

①現状の問題点
②重軌条化を高速化に先んじて行う理由
③②が竣工した時の車両運用・編成

の順で話を進めていきたいと思います。

【表2】

sekihoku-2-2

☆遠軽の方が丸瀬布より標高が低く、駅構内が広く、もし重軌条化終点ともなると、遠軽の方が基地としてふさわしいと思いましたが、工事区を50km単位と考えましたので、丸瀬布で区分けの境としました。

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現在抱えている問題として

(以下:(エ)エンジン出力、(周)動輪周出力)

①DD51ディーゼル機関車の重連総括制御牽引でも牽引力・速力に不満が残ることがある。

*1. エネルギーロスが大きすぎる点

効率は、エンジン単体→動輪周までに30%の損失があります。

また、総括制御の際の電気系統などにエンジン出力は使われますので(この時一番ロスが少ない時でも最低15%程度使われてしまいます)☆従ってDD51の重連総括制御運転時の定格出力は(エ)2200PSx0.7+2200x0.7x0.85=(周)2809PS

*1’かといってDD51でpush-pull運転を行うと (理由は表2※1でご確認ください)、総括制御でロスする燃料は不要になりますが、運転要員が2組必要です。

*2.*1と同様のことになるかもしれませんがDD51x2はやはり燃料消費か人員の点で石北線特有の問題点を抱えているようです。

*2’一部ではDD51が、DF200に比べ鈍足であるとの御批評(設計最高速度はDD51:95,DF200:110km/hr)もあるようです。

石北線の路線設計は元来95km/hrなのでDF200を走らせてもDD51と同じではないか、という考えは当たりません。DD51は定格出力目いっぱいの速度ですが、DF200は余力ある速度の分、ギア比を上げて引張力を定格引張力より高いレベルを、引き出すことができるかもしれません。

それでは!?

*3.具体的打開策は?

この山岳路線を単機牽引可能な機種は有るのか?といえばDF200ですが、総重量・軸重が過大で入線できないとか・・・

*4.では、小型で力持ちの後継機関車がDE10/11(15)以降登場しているか?

これも「NO」であります。

 

☆現状での「とりあえず」の結論:<貨物列車が「新旭川」「遠軽」の2か所で反転すると仮定して>

(機関車)か(乗員+機関車)を多く投入しなければならない現状では、push-pullの方が多少有利かと思われます。運搬重量に応じた、機関車の組み合わせは、かえって現場の混乱を招くものでしょうか?

たとえば、今日は荷が少ないから 2200PS+貨車+1250PSクラスの機関車でのpush-pullとすれば少しは燃費も・・・ま、もう当然やっておいでと思いますが・・・

 

◆輸送の改善

かかる状況を旅客・貨物の不満で表わすと「オホーツクが全国一足の遅い特急である」 「DF200を石北に入線させることができたら・・・」が具体的なトップに挙がっている印象を持ちます。

☆ここで、「旅客の高速化のみ」に目を向けると石北の貨物列車に未来はありません。

「もし、本当に将来の石北本線の発展を考えるのであれば、高速化より重軌条化を優先させるべきと思います。」

重軌条化に際しては、道床を厚くし、タイト・プレート化するなど、高速化工事の一部も行いますが、車輛はいかにして最低限のトレード程度で、重軌条化とあわせて「日本一鈍足特急」から抜け出られるか?
ほどにとどめ・・・

 

次回以降は

重軌条化前にしておくべきこと:と題して

*旅客はどこまで出力アップすれば山越えの平均速度を70km/hr以上だせるか。
*貨物はどこからどこまでは、最低限重軌条化の対象とすべきか

を検討していきたいと思います。

「めざせ脱却オソーツク!」
「石北の貨物は永遠に不滅です!!」

 

『【石北本線改良案 - 1/5】最初は重軌条化、高速化は後でもよい』 終了

『【石北本線改良案 - 2/5】重軌条化の前にやっておくべきことはないか?(1)◆貨物編』 へつづく

 

文・表/黒羽君成